より良いドローンライフを

ドローンと風!法律とトラブルの観点からか強風対策を紹介します!

ドローンと風は切っても切り離せません。ドローンの飛行トラブルの多くは風にまつわる事が多いです。風は生き物のように日々変化しますし、ロケーション、地形、高度、時間帯により変わってきます。

風についての知識や強風時での飛行の法律、事前に風を知る方法等を紹介していきます。

ドローンは風に弱い

ドローンに様々なセンサーや安全装置により守られていますが、弱点もあります。それが風になります。ドローンのトラブル事例をみてもらえば分かりますが風に流されてロストしてしまうトラブルが多くあります。

風に流されロストと言う事は、結果的に墜落を意味しますのでニ次被害によるトラブルで人にぶつかる人身事故や高速道路や鉄道に墜落する交通障害、墜落によるリポバッテリーの発火による火災等、新聞に載るような大災害のリスクもあります。

このようなことからもドローンを飛行する上で風の知識を知っておく事はとても大事になります。風によるドローンへの影響を列挙します。

風によるドローンへの影響

  • 離陸、着陸がうまくいかない
  • 機体が流される
  • バッテリー消費量が変わる
  • 砂埃による機体故障
  • 飛行速度が変わる
  • 強風時リターントゥーホームが効かない

風によるドローンへの影響は操縦だけでなくセンサーや安全装置にも影響を及ぼします。あまりの強風だとその場で自動着陸モードになってしまう機体もあります。

トラブルやパニックにならないよう、強風時にドローンを飛行する上で次からは必ず知っておくべき事を詳しく紹介していきます。

風速5m/s以上の飛行は法律違反?!

航空法やその他の法律を見てもドローンの風速に関しての条文は明記されていないので通常なら風速に制限はなく飛ばす事が出来ます。

しかし場合によってはドローンを飛行する上で風速5m/s以上の飛行は法律違反になる可能性があります。それは包括申請を取得している方で航空局標準マニュアルを使用している方です。

・風速5m/s以上の状態では飛行させない。

国土交通省標準飛行マニュアル

上記の記述を見てみれば分かりますとおり明確に風速5m/s以上の状態では飛行させない。と書いてあります。この飛行マニュアルに書かれた事に反してドローンを飛行させた場合には航空法違反になります。
(航空局ヘルプデスク確認済)

つまり、風速5m/s以上の時、包括申請取得者で航空局標準マニュアルを使用してのドローン飛行している方は違法行為をしている事になります。

ただし安全対策をして風速5m/sを風速8や10m/s等に独自にマニュアルを作り変えた場合はその範囲内で飛行は可能になります。

違法
包括申請取得者+航空局標準マニュアル

適法
国交相に許可のいらない飛行
包括申請取得者+独自マニュアル
で風速対策をしている方

5m/s以上になると違法、適法関係なしに飛行に悪影響を及ぼします。風速の強い日は十分に注意して飛行しましょう。

5m/sってどれくらいの風?

5m/s(メートル毎秒)とは時速で直すと、36km/hになります。ちなみに100m世界新記録を出したボルト選手のスピードが時速36km/hです。

1時間は3600秒→10秒で100m
3600秒→36000m=36km

ボルト選手の例えが分かり辛いですよね…。自然環境の変化で例えるならば以下が目安になります。

5m/sの風力
陸上⇒砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が宙に舞ったりする。
海上⇒水面に波頭が立つ

風速を目測する時はイギリスの提督ビューフォートの考案した風力階級が参考になります。

気象観測ガイドブック

風速計で現場の風速図るのが一番正確です。ただし注意点として、高度や地形により風速が変わるので、そのあたりの知識も必要になってきます。次からは高度や地形によっての風速の変化について紹介していします。

高度による風速の変化

高度によって風速が変わります。簡単に言ってしまうど地表面から高くなるほど風速が強くなります。

ですので地表面では3m/sの風力が高度100mの高さでは6m/sの風力になっている事も珍しくないので注意が必要です。下の図は稲の収穫後の田圃で観測された 風速の鉛直分布になります。

参考列

a:弱風時
b:並みの風速時
c:強風時
丸印:観測値

出典引用:https://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/kenkyu/ke01.html

地表面からの高さが高くなるほど、風速が大きくなり、風が強ければ強いほど大きく差が出るのが分かりますね。

高度、地形や構造物によっても風速は変わります。以下の図が参考になります。

出典引用:https://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/kenkyu/ke01.html

風速の鉛直分布です。縦軸は対数目盛の高度で横軸は風速になります。

地形による風速の変化

崖、橋の上、山、谷、ビル等地形が変化によっても風速が変わります。また平原や海のような障害物がない場所は基本的に風が強いです。

これらの地形の場所では突然の突風や吹き下ろし、上昇気流などが発生しやすくドローン飛行には特に注意すべきポイントです。

突風
予期せぬ風速により流されてしまう危険がある

吹き下ろし
進行方向や風速によっては揚力を失い失速する危険がある。

上昇気流
ドローンは上昇気流に弱く失速、墜落する危険がある。ボルテックス・リングの危険(後述)

灯台はドローン撮影で人気ですが海に面した高台や崖の上のロケーションが多く、風が強いのが特徴です。風のない日を当てるのも結構大変です。

季節、時間帯による風速の変化

ドローンは季節や時間帯によっても風が変化します。(季節風の他にも地球の自転の関係で一年を通して西風が吹く偏西風などもあります。)

季節で言えば夏は南風、冬は北風が多い。時間帯で言えば、朝は風が弱く日中に風が強くなる傾向にあります。

特に夏は日中の気温の上昇と共に風が強くなる事が多いので風の弱い早朝がお勧め。
(気温も暑くなく、人も少なく、風も弱いので朝一はお勧め)

ドローンは風向きも重要な要素で基本的に風上(かざかみ)に向かって飛行させるのが良いとされてます。
万が一風が強い場合、風下(かざしも)だど向かい風の影響によりドローンが帰ってこないリスクがあります。

季節や時間帯による風向きや風速の傾向を知っておく事により飛行計画が立てやすくなります。

危険なボルテックス・リングについて

ドローンを飛行する上で知っておくべき事はボルテックス・リングです。ボルテックス・リングとは、ドローンを上空から降下しているとき、プロペラに下からの風が当たりますよね。

その際、気流が乱れてプロペラの下に渦状の風ができ、揚力が奪われて機体が不安定になる事をボルテックス・リングといいます。またセットリングウィズパワーとも呼ばれてます。

このような状況になると機体は振動し、制御が難しくなり揚力も失い最悪の場合墜落してしまうとても危険な状態となります。

もしこのセットリングウィズパワーの症状に見舞われたら、前進加速を行う事で回避する事ができます。浮力が不安定なためスロットルで上下に動かしても意味がありません。

また飛行前に風向を把握しておき風下方向へは風速と同じ移動速度で急な降下をしないように注意しておく事も重要です。

セットリングウィズパワーは上昇気流が発生しやすい、山や崖、ビルの谷間などを飛行する際起きやすいです。また、垂直下降でも起きやすく基本的にドローンを下降させる場合は、エレベーターなどを入れて角度を付けて降りるか、螺旋状に降りるのが望ましいです。

地面効果
ドローンは4つのプロペラにより下に向かってダウンウォッシュと言われる風を吹き下ろす事により浮上してます。

このような事から、地表面近くを飛行するとダウンウォッシュが地表面に反発して機体を下から支える形となり、逆に揚力が増す現象が生じます。

この事を地面効果と呼びます。機体が不安定になり特に風が強いときは着陸させるのも困難になる事があります。バランスが崩れたり不安定な状況になったら再度上昇してやり直しした方が良いでしょう。

強風で流された時の対処方法

予期せぬ風で流された時の対処方法を紹介します。

距離がどんどん遠ざかっていく
向かい風に全然戻って来ない

このような状況になったら以下の2つ方法を試してみて下さい。

①スピードモードに切り替える
②高度を下げる

ノーマルモードからスピードモードに切り替える事により、最高速度やパワーが増すので向かい風への推進力も高まります。
また、高度が高いと風速も強い傾向なので安全を確認して高度を下げる事により風力が弱くなり帰還しやすくなります。

流されて機体を見失なった場合

慌てずに飛行地図を見る事により現在地を確認。標準されてる機体の向きをホームポイントに合わせて、周囲の状況を確認しながら帰還させて下さい。

リターントゥーホームを使っても良いのですが設定高度まで上昇して帰還するため、逆に流されるリスクもあることに注意して下さい。なるべく手動で帰還する事をお勧めします。

デジタル風速計

風速を調べるのに便利なのがデジタル風速計。
先述しあビューフォート風力階級表を参考にしても良いのですが、やはりより正確な風速を知るならばデジタル風速計がお勧めです。

デジタル風速計により風向き、風速、最大風速が分かります。

使い方のポイントは複数の場所で一定間隔をおいて複数回、測定する事により風の流れや風の強弱の場所が分かります。

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また、操作性もシンプルで、誰でも簡単に使用できます。

ただデジタル風速計計はあくまで測定値の風速を測るものです。実際にドローンが飛行する場所は高度も高くなり、障害物による予期せぬ風向きや風速になる場所も多いです。

デジタル風速計をあまり過信せず、少し厳しい基準で飛行させる事が良いと思います。

ドローンの機体別耐風性能

ドローンの種類 耐風性能
Mavic Mini 8 m/s
Mavic Mini2 8.5-10.5 m/s
Mavic Air 8.5-10.5 m/s
Mavic Air2 8.5-10.5 m/s
Mavic 2(Pro/Zoom) 10.5 m/s
Phantom 4 Pro V2.0 10.5 m/s
Inspire 2 10.5 m/s

※あくまで目安なので正式な耐風性能はメーカー公式を参照下さい。

強風時の飛行の注意すべき点

ドローンと風について色々と紹介してきました。最後にドローンを飛行するにあたり注意すべきポイントをまとめておきます。

  • 基本的に風速5 m/s以上の時は飛ばさない
  • 強風時は風上に向かって飛行する
  • 高度や地形、時間帯により風向き風速が異なる
  • ドローンは上昇気流に弱い
  • バッテリーの消耗が早くなる
  • 突風時にはその場で緊急着陸モードになる事もある

ドローンを飛行する上で風の影響は必ず知っておくべき知識です。墜落原因で風の影響は少なくありません。少しでもこの記事を見て参考になれば幸いです。

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