より良いドローンライフを

海でドローン飛行!許可・届け出は必要?法律の観点から紹介します!

ドローンを飛行させる場所として海はとても人気ですよね!海の殆どが航空法で規制されている人口集中地区から外れてますし、広い空間がありますので許可がなく飛ばしている方も少なくないと思います。

海でドローン飛行させる場合許可って必要なの?誰に確認すればいいの?海でドローン飛行させる場合注意すべきポイントを法律の観点から紹介していきます。

海(海岸&海上)でドローンて許可なく飛ばせるの?

結論から言いますと、許可が必要な場所と必要のない場所があり、管理者の判断で決まる事が多いです。必ず管理者の確認を取ることが重要です。
海には海岸法や港則法などさまざまな法律がありますが、ドローンに関して直接記述した法律はありません。

つまり基本的にはドローンの飛行はできるのが前提ですが、法律の解釈によりドローンの飛行が禁止されていたり許可が必要な場所を指定している事も多いです。船舶の往来の激しい航路や港、灯台近辺、海水浴場、環境保護エリアはほぼ許可が必要だと思っていいです。

確かに海には自由使用の原則と言う考え方もありますが、船舶の安全や環境保全のためにはある程度制限される事は当然の事でしょう。日本の海岸の場合すべての海岸に管理者が置かれていますのでまずは管理者にドローンの飛行に関して確認してみることが重要です。次からは詳しく海でのドローン飛行について法律の観点から紹介します。

海でドローンを飛ばせる場所は?

海でドローンを飛ばすには法律に適した場所である事と管理者(地権者)の飛行許可がある事が条件です。

  • 法律に適した場所
  • 管理者(地権者)への確認

法律に適した場所

ドローンに関連した法律と言えば直接ドローンのことを明記してある航空法と小型無人機等飛行禁止法が代表的です。

その他にも、民法、道路交通法、電波法、各地方公共団体が制定する条例などが挙げられます。海の飛行で特に関連しそうなものは航空法です。航空法では以下の3つの飛行エリアを規制しています。

ドローンの規制区域

  • 人口集中地区の上空の空域
  • 地表又は水面から 150m 以上の高さの空域
  • 空港等の周辺(進入表面等)の上空の空域

海の上はほとんど人口集中地区から外れますが、海岸や港、コンビナートエリアは人口集中地区に指定してある場合もあるので必ずチェックしましょう。

ドローンの飛行ルール

  • 日中(日出から日没まで)に飛行させること
  • 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
  • 人(第三者)又は物件(第三者の建物)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
  • 爆発物など危険物を輸送しないこと
  • 無人航空機から物を投下しないこと
  • イベント・催し上空で飛行しないこと

船や人、電信柱から30m以上離して飛行させる必要があります。また日の出、日の入り撮影も夜間飛行となります。モニターを見ながらの飛行も違法行為となります。

これらの条件外で飛行させる場合は国土交通省の許可又は承認が必要になります。もしこれらの法律に違反した場合には1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられますので十分注意しましょう。知らなかったではすまされないのが法律です。

詳しくはコチラ

管理者(地権者)への確認

一言で海といっても海岸、海上、港、灯台など管理者が異なってきます。当然適用される法律も異なり、必ず管理者に確認することが大切です。ざっくり言うと以下が問い合わせる管理者となります。

海岸 市役所 土木事務所
海上 海上保安庁
港湾局
灯台 海上保安庁
海水浴場 海水浴場設置者(市役所)
海浜公園 公園管理者

もっともどこの国にも属さない公海ですと許可は不要です。船舶でしたら船の船長の許可も必要となります。これはあくまでも目安ですので、ネットでホームページを調べるかもしくはわからなければ所在地のある役所に問い合わせしてみると良いです。

海岸(ビーチ)でのドローン飛行の許可申請は、多くの場合、許可まで必要としてる場合は少ないです。大半が海岸の使用届けを出す形が多いです。さらに言えば趣味で飛ばす場合は使用届も不要な場所が多くあります。ただし、航空法を守る、人の近くでは飛ばさない、迷惑行為をしないなど基本的なルールを守る必要があります。まずは所在地のある市役所に問い合わせしてみましょう。

海でドローンを飛行する上で関連しそうな法律

ドローンを海で飛行する際に関連しそうな法律を紹介します。上記でも説明した通り海での法律に直接ドローンと言う文言が明記されている法律はありません。法の解釈によりドローンが飛行できるかできないか決まるわけでその解釈は管理者により異なります。

海岸法

海岸法は従来、津波や高波などから海岸を守るための法律として作られました。しかし時代の経過とともにその役割も変化・拡大してきて1999年には総合的な海岸管理制度を目指し、「海岸環境の整備と保全」「公衆の海岸の適正な利用」を追加して海岸全般を担う法改正をしています。

ドローンに関連する条文

海岸浸食等の被害から海岸を守るために、海岸法に基づき海岸管理者は海岸保全区域を指定する。海岸保全区域では堤防、突堤、護岸、胸壁、離岸堤等の施設が設置されるとともに、海岸の利用に際しては海岸管理者の許可を要する。

海岸保全区域(2条)

海岸保全区域での利用に関しては管理者の許可が必要になる場合がある

海岸管理者は、海岸環境の保全や適正な利用のため、海岸への自動車の乗り入れなど一定の行為を制限または禁止することができる。

海岸管理者(5条)

海岸法に違反した者は罰則として懲役6か月以下or罰金30万円以下に科せられることがあります。

港湾法

港湾法は、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し保全することを目的に制定されました。港と航路の保全の観点から、ドローンは港湾管理者に従う必要があります。

ドローンに関連する条文

港務局は、次の業務を行う。
二 港湾区域及び港務局の管理する港湾施設を良好な状態に維持すること
四の二 水域施設の使用に関し必要な規制を行うこと。

第十二条

基本的に港でドローンを飛行する際は港湾局に連絡を入れて許可を得る必要があります。

港則法・海上安全交通法

港則法・海上安全交通法とは港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図ることを目的とした法律です。
港湾法と似てますが、港湾法は、主に港に関する法律に対して、港則法や海上安全交通法は、船舶交通に関する法律です。

ドローンに関連する条文

港則法 第七章 雑則
第31条
特定港内又は特定港の境界附近で工事又は作業をしようとする者は、港長の許可を受けなければならない。
(2)港長は、前項の許可をするに当り、船舶交通の安全のために必要な措置を命ずることができる。
第32条
特定港内において端艇競争その他の行事をしようとする者は、予め港長の許可を受けなければならない。

港則法 第七章 雑則

特定港内でのドローン飛行は港長の許可が必要になります。

海でドローン飛行するなら港則法を理解しよう!

海でドローンを飛ばすなら港則法が大きく関わってきますのでしっかりと理解しましょう。港則法違反をすると、6ヶ月以内の懲役又は50万円以下の罰金に科せられることがあります。

特定港内での飛行は許可が必要

第31条
特定港内又は特定港の境界附近で工事又は作業をしようとする者は、港長の許可を受けなければならない。
(2)港長は、前項の許可をするに当り、船舶交通の安全のために必要な措置を命ずることができる。

港則法第31条の条文を見てみますと特定港内での作業は港長の許可が必要です。

特定港とは…

港則法第31条の条文を見てみますと特定港内での作業は港長の許可が必要です。
特定港とは…
港則法の法律が適用される港を「適用港」と言います。その適用港の中から特に吃水の深い船舶が出入できる港又は外国船舶が常時出入する港の事を【特定港】と呼びます。2020年2月時点で、特定港と呼ばれる港は日本全国に87港あります。
特定港内でのドローン飛行はら作業に該当するかと言うと港則法の趣旨から考えると船舶交通に影響を及ぼす恐れがあるならば「作業」にあたると思われます。特定港内でのドローン飛行は、許可を得る必要があると言えます。事実多くの特定港では許可を必要としてます。

特定港に限らず、港則法適用港、港則法区域、港則法航路で飛行する場合は、管理者に確認の上許可を得ましょう。これらを調べるならば
こちらの海洋状況表示システム(海しる)でチェックできます。

海洋状況表示システム(海しる)

※データ追加で以下を追加してます。
港則法適用港、港則法区域、港則法航路、灯台

港則法で許可が必要な行事にドローンは含まれる?

特定港内において端艇競争その他の行事をしようとする者は、予め港長の許可を受けなければならない。

第32条

ドローンの飛行はこの条文の【行事】にあたる場合があるとされています。以下は海上保安庁のホームページより引用です。

行事の範囲
行事とは、端艇競争のほか、祭礼、パレード、海上訓練、水上カーニバル、水上花火大会、遠泳大会、海上デモ等一般的には、一定の計画の下に統一された意思に従って多数のものが参加して行われる社会的な活動をいいます。
また参加する船艇等が少数であっても水域を占用したり、船隊を組む等航路や泊地などにおける通常の航行と異なった航行形態は行事に該当します。このほか、海域上空において、ラジコンヘリやドローン等の無人飛行機を用いた空撮やイベント等を実施する場合で、一定の海域を占用(利用)し、当該行為が船舶交通に影響を及ぼすおそれのある場合も行事に該当します。

引用元:海上保安庁の海上工事作業に伴う許可手続き等の手引き

ドローンを利用する行為が船舶交通に影響及ぼす恐れがある場合は許可が必要との事です。しかし、逆を言えば特定港でなく、船舶交通の少ない海上でのドローン単体での飛行は許可無く飛行できるとも言えます。ただしその判断が難しいため必ず海上保安庁に確認して下さい。

2016年東京湾で撮影会社が5隻で船隊を組んでその風景をドローンで空撮したとして港則法違反(無許可行事)で検挙された事件がありました。これはドローンを無断で空撮をしたから捕まったと言うよりか、さきほど行事に当たる引用文を紹介しましたが、作業船など5隻で船隊を組んだ行為が船関係舶交通に影響を及ぼす危険行為として港則法違反(無許可行事)に該当すると言えます。つまり今回の事件におけるドローンと港則法違反は直接は関係してないと思います。

海上保安庁はドローンに寛容的?

何かとドローンに関しては規制が厳しくなる一方ですが、海上保安庁の方針は規制を緩和している流れです。ドローンに関しても厳しく取り締まると言うよりか、寛容的にも受け止められます。

以下は海上保安庁談のPDFより引用

Q. 海の上でのドローンは許可は必要?

A.
具体的には港則法という名前の法律がございまして、船舶交通が激しい港におきまして、そういった行事的なこと、こういった、ドローンを飛ばすためではなく、ドローンを飛ばすための船舶がいろいろ動く場合はほかの船舶交通に影響を与える可能性がありますので、許可をとってくださいという形になっております。

Q. 許可基準は?

A.
許可は、船舶交通の安全が確保できれば、基本的に許可はおろすという形になっておりまして、これまでも支障になったということは聞いたことがございませんし、今回においても千葉保安部にも確認いたしましたが、やはり許可申請があれば許可をおろすと言っておりますので、問題はないと認識しております。

Q. 許可が必要のない場合もあるの?

A.
他の海域では船舶の往来の妨げにならない高度での飛行あれば事前申請は不要というケースが多いのですが、…
一部省略
混み合っていなければ許可不要という形にしております。

Q. ヘリコプターなどが海上を運航するときには何か、海上のほうからの規制はないのですか?

A.
当然ありません。空を飛んでいる分には全然規制はありませんので。

引用元:2017/笠尾課長 海上保安庁談

飛行許可までの手続きの流れ

海岸管理者に提出の場合
(海岸)

  1. 海岸の管理者を探す。わからなければ市役所に問い合わせ
  2. 飛行許可の有無の確認。申請用紙があればそれに沿って記入する。
  3. 許可や使用届が必要な場合は飛行日前遅くても10日には提出する。郵送、ファックス、窓口、メールなどの手段があるが手間や郵送料がかからないメールがお勧め。
  4. 許可書の場合は郵送される。なお海岸一時使用届は、市役所に届けるだけで紙での返信はありません。

海上保安庁に提出の場合
(海上や港で飛行)

  1. 飛行1か月前には飛行計画書を作成(飛行エリアマップ、飛行目的、飛行日時)
  2. 飛行計画書をもとに電話又はメールにて担当者と事前協議(飛行エリアや飛行目的、飛行日時を伝える)
  3. 担当者から修正箇所や指摘された場合はそこを修正する。完成した書類を直接海上保安庁に持参する(行事許可申請書原本と添付資料を提出)諸条件を調整する。
  4. 港湾局・港湾課にも申請する。必要があれば警察署にも連絡する。
  5. 海上保安部内で審査の後、後日許可書が発行されます。

海上保安庁への申請は郵送は受け付けておらず直接書類を持参しなくてはなりません。また審査にも1ヵ月程度の時間がかかります。飛行エリアマップ作成の際も、緯度や経度を使って作成しなくてはならないので難易度はかなり高いです。

海でドローン飛行の注意点 

海でのドローンの飛行を法律の観点からお伝えしてきました。航空法や海に関する法律以外で注意すべき事を紹介します。

条例による規制

法律に適応していても、地域によっては条例を設けて海岸のドローンを飛行しているエリアもあるので注意が必要です。
特に夏になると多くのビーチが海水浴条例により限定的に市町村が管理者となります。管理者が変わればその管理者の許可が必要になりますので、航空法や海岸法が合法だから飛ばせると思わないでください。
役人は縦割り行政な部分もあり、自分の部署以外とは、連携が取れない事もあり、わざわざ条例で禁止されてますよなど教えてくれない事も多いです。尋ねれば可能な範囲で教えてくれる人が多いので、飛行するエリアに関しては、いろいろと尋ねてみたり自分で調べたりする必要があります。

盗撮疑惑に注意

ドローンを飛行する際は、海水浴場やホテルには近寄らないようにしましょう。
海水浴場には、水着の女性がいますし海に面したホテルには、プールや露天風呂を設置している場合もありドローンを飛行しているだけで盗撮だと通報されるリスクがあります。痴漢の冤罪と同じように疑われたら立場が弱いです。
また無許可で他人をドローンで撮影したり、家を撮影した場合は、肖像権やプライバシー権の侵害で民事裁判で訴えられる事もあります。
意図せず映り込んでしまった場合でも訴えられてしまうことがありますので十分注意してください。
東京タワーやスカイツリーの撮影は肖像権が設定されてますので商業目的で撮影すると後から請求が来るので注意してください。

海岸を撮影するのにお金がかかる場所もある!
風光明媚な場所や観光地、シンボルモニュメントがある場所では、撮影協力費、協力金、撮影費、使用料などの費用がかかるところがあります。沖縄に多い、関東では九十九里の屏風浦などが当てはまります。また撮影するのにフィルムコミッションや漁業組合の許可を得る場所もあります。

まとめ

ドローンは近年急速に伸びてきた分野で、法律がまだ追いついてないのが現状です。管理者の判断も管理事務所とバラバラな事も多く結局は問い合わせをしてみなければわからない場合が多いので、飛行する際は必ず管理事務所に問い合わせをしましょう。港や海の上での飛行は許可を得るのに正直かなり大変です。一方で海岸でのドローン飛行は人が少ない場所でしたら、比較的容易に飛行することができるのでドローンの練習する場所としてもオススメです。

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