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ドローンと肖像権の侵害※ドローン撮影の注意点

ドローンの多くはカメラが付いており、意図せず他人を写してしまう事があります。許可なく他人を撮影してしまうとプライバシーの侵害に当たり、特に人物の撮影・写真に関しては肖像権の侵害に当たる事があります。

以前Googleストリートビューの写真に関しても肖像権侵害ではないかと議論されてます。
こちらのページではドローンを飛行する上で知っとくべき知識として肖像権の侵害についてご説明します。

肖像権とは…

肖像権とは、

「みだりに自己の容貌や姿態を撮影されたり、撮影された肖像写真を公表されないと言う人格的利益」と言われます。

(東京地判平成17年)

肖像権をわかりやすく言うと、
無断で写真を撮られたり、撮られた写真が無断で公表、利用されない権利です。
権利と言ってもプライバシー権と同様に法律で明文化された権利ではありません。しかし憲法13条を根拠に導き出された比較的新しい権利です。

ドローンを利用する大半の目的が撮影ですので、こちらの肖像権はドローンを操縦する上でしっかりと知っておくべき知識だと思います。

肖像権の侵害になるかのポイント

ドローンを飛行する上で肖像権の侵害となるかならないかのポイントを紹介します。

承諾を得ていない撮影

承諾を得ていない撮影は肖像権の侵害の問題になります。たまたま映り込んでしまった場合も同様に肖像権の侵害にあたる事があります。
撮影方法、公開の目的・必要性、その態様等 を考慮して、社会的受忍限度を超えるような撮影・公開の場合は、肖像権を侵害するものとして違法となる。

撮影場が公共の場か否か

撮影の場が道路や公園など公共の場の場合と自宅や車の中などプライベートの場合で肖像権の侵害になるかならないか変わってきます。公共の場で風景等を撮影しようとした時にたまたま第三者が小さく写り込んでしまうような場合は、目的が風景である事が重視され判例では社会生活上の受忍限度の範囲内として肖像権侵害に当たらない可能性が高いです。

個人を特定出来るか、出来ないか。

撮影されたとしても、個人を特定することができないほど小さい場合や画質がボヤけていたり、人だかり中に紛れていている場合は肖像権の侵害が否定されるケースが多い。また公開時にモザイク等をつけて個人を特定できないようにした場合も肖像権が否定されます。

注意

TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSは拡散可能性が高く、このような場所に撮影動画を公開すると、撮影が公開目的と判断されて違法性が高いと判断される可能性が高くなります。

肖像権侵害の問題は撮影とインターネットでの公開の双方それぞれで問題になります。インターネットで公開した場合はそれが証拠となりますので、公開する前に肖像権を侵害していないか必ず確認してからアップするようにしましょう。

肖像権侵害の判断材料

肖像権自体は無断で第三者の人物を撮影する事で侵害が発生します。しかし様々な要素が絡み合って判断されます。以下は肖像権侵害に当たるかの判断材料です。

被撮影者側
・被撮影者の社会的地位
・撮影された被撮影者の活動内容
・撮影場所

撮影者側
・撮影目的
・撮影態様
・撮影の必要性

※最高裁平成17年11月10日

被撮影者の社会的地位

公的な地位であれば適法の方向に傾きます。逆に、一般人であれば違法の方向に傾きます。
ただし芸能人やスポーツ選手、著名人などにはパブリシティ権(その人に備わっている顧客吸引力の価値)があり、無断撮影すると高額賠償請求される事もあります。無断でドローンを使ってのスポーツ観戦をネットにアップさせると莫大な損害賠償請求がなされる可能性がある。

撮影された被撮影者の活動内容

撮影された被撮影者の活動内容とは、ドローン撮影で言えば、撮影した人物を編集する事です。ズーム編集をしたり、心理的ダメージを与えてしまうような編集をすると違法性が高まります。

撮影場所

街中、公園など公共性の高い場所でたまたま映り込む場合は著作権侵害に当たらない可能性が高い。逆に自宅や庭にいるようなプライベート的な場所での撮影は違法性が高まる。

撮影目的

撮影目的が私利私欲(お金儲け)の為なら違法性に傾き、公益を図る目的であれば適法の方向に傾きます。

撮影態様

撮影目的が風景なのが明確であり、たまたま人物が映り込んでしまった場合などは違法性が薄い。隠し撮りや違法性を知ってて撮影した場合は当然肖像権の侵害に当たります。

撮影の必要性

撮影目的と同様に撮影が公共のための場合なら適法に傾き、私利私欲の場合違法性に傾く。
ニュースの報道など皆がその撮影の必要性を認め公共性の高い場合は適法に傾く。逆に撮影する必要性のない撮影動画などは違法に傾きやすい

肖像権におけるドローンでの撮影の注意点

ドローンを飛行させる場合、プライバシー権や肖像権を特に意識して撮影することが大切です。ここでは肖像権におけるドローンでの撮影する際の注意点を紹介します。

①撮影目的・方法をはっきり決める

何を撮影するのか撮影目的をはっきり決める。
撮影方法、手段を明確化する
撮影場所、被撮影者には撮影の同意をもらう。

②ロケハンを行う

撮影前の現場チェックは大切です。近くにホテルや団地が映り込まないか、人混みなどをチェックしておく。

③撮影時に注意する事

撮影時は住宅地や人になるべくカメラを向けないようにする。人が写ってもアップで映らないようにする。どうしても写ってしまう場合は撮影前に事前に同意をもらっておくのが良い。

④動画を公開するときの注意点

公開前に何度も見直しして肖像権やプライバシー権が侵害されてないかチェックする。1人の顔や表札または看板が判別できる加えはっきり写っている場合はモザイクとぼかす処理を行い特定できないようにする。

⑤公開後の対応

万が一権利侵害の申し立てがあり、明らかな場合は場合は直ちに動画をネット上から削除する。

肖像権侵害による罰則

肖像権は法律で直接明記された権利ではありません。肖像権という言葉はあるけどそれを取り締まる法律は今でも無く「肖像権侵害罪」という罪名はありません。
ですのでプライーバシーの侵害、名誉毀損罪、著作権方違反、迷惑防止条例だとか別の名前の法律で取り締まる事になります。
名誉毀損罪ですと、3年以下の懲役もしくは禁錮または 50万円以下の罰金に処せられます。

まとめ

ドローンにおける肖像権の侵害について紹介してきました。ドローンを空撮すれば誰しもが、知らぬ間に肖像権を侵害してしまう恐れがあります。しかし肖像権の内容をしっかり把握し適切な処理を行えばまず肖像権で訴えられる事はないでしょう。

肖像権の侵害で訴えられないポイントは、許可なく他人を撮影しない、人の家やベランダは撮影しない。動画をネット上にアップする際必ず肖像権の侵害がないか確認することです。

肖像権に限らずドローンで撮影を行うと、意図せず著作権、パブリシティ権、プライバシー権など様々な権利を侵害してしまうリスクがあります。露天風呂や海水浴場、プール、ベランダなどが写ってしまうと盗撮とみなされてしまうリスクもあります。

ネットにアップした情報は証拠になりますので後から検挙されるって言うパターンが増えてきてます。何回も言いますがインターネット上に情報を上げる場合は違法性がないか何度も確認しましょう。

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