より良いドローンライフを

ドローンの許可申請に必要な「10時間飛行実績」について詳しく紹介!

ドローンパイロットとしてまず目標とするのが国土交通省の包括申請の取得です。包括申請を取得することによって人口集中地区や人や物から30m制限、目視外飛行などが可能となります。

その包括申請を得る条件の中の1つに10時間の飛行実績が求められてます。そこで10時間の飛行実績の詳細や条件、練習方法などを紹介していきます。

10時間の飛行実績とは…

ドローンをいざ飛ばそうとしても様々な制限がかけられて実際は飛ばせる場所は限られています。例えば、人口集中地区での飛行や人や物から30m未満の飛行の禁止、目視外飛行などです。

禁止エリア一覧

  • 空港周辺の飛行禁止
  • 人工密集地域(DID地区)の飛行禁止
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人や物件から30m以内の飛行
  • イベント上空飛行は禁止
  • 危険物輸送物件落下の禁止

※飛行するなら許可、又は承認が必要

これらの条件下で飛行させる場合は、国土交通相航空局に対して「飛行許可申請」を行って許可又は承認を得る必要があります。その許可承認を得る条件として、飛行ルールの知識や10時間の飛行実績が挙げられます。10時間の飛行実績と言うのは少ないようにも思いますが実際は結構大変。

ドローン1フライトあたり20分前後の飛行しかできませんので単純に計算しても30回フライトしなければなりません。1時間飛行させるには予備のバッテリーを2つ買わなくてはなりませんし、雨や風など悪天候の場合練習したくても練習できないこともあります。週末1時間飛行させても、2、3ヶ月は掛かります。

また10時間というのは、実際に飛行している時間ですので電源を入れているだけではカウントされずダメです。ドローンを飛行させるとフライト記録が残ります。その飛行実績が証拠のデータになります。(※現在は国交省に添付する必要はありませんが、必要書類として証拠の添付を求められる事も考えられます)

10時間の飛行の内容

10時間の飛行の内容
10時間の飛行の内容は国交省の飛行マニュアルによると以下のように定められています。
(飛行マニュアルとは包括申請をするにあたり守るべきルール等を定めたもの)

基本的な操縦技量の習得
プロポの操作に慣れるため、以下の内容の操作が容易にできるようになるまで 10時間以上の操縦練習を実施する。なお、操縦練習の際には、十分な経験を有する者の 監督の下に行うものとする。訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等 を受けた場所で行う。

項目名 具体的な内容
離着陸 操縦者から3m離れた位置で、3mの高さまで離陸し、指定の範囲内に着陸すること。
この飛行を5回連続して安定して行うことができること。
ホバリング 飛行させる者の目線の高さにおいて、一定時間の間、ホバリングにより指定された範囲内(半径1mの範囲内)にとどまることができること。
左右方向の移動 指定された離陸地点から、左右方向に20m離れた着陸地点に移動し、着陸することができること。
この飛行を5回連続して安定して行うことができること。
前後方向の移動 一定の高さを維持したまま、指定された地点を順番に移動することができること。
この飛行を5回連続して安定して行うことができること。
水平面内での飛行 一定の高さを維持したまま、指定された地点を順番に移動することができること。
この飛行を5回連続して安定して行うことができること。

業務を実施するために必要な操縦技量の習得

項目名 具体的な内容
対面飛行 対面飛行により、左右方向の移動、前後方向の移動、水平面内での飛行を円滑に実施できるようにすること。

飛行の組合せ 操縦者から10m離れた地点で、水平飛行と上昇・下降を組み合わせて飛行を5回連続して安定して行うことができること。
8の字飛行 8の字飛行を5回連続して安定して行うことができること。

この条件を見ればわかるとおり10時間をホバリングで稼いでも飛行実績とはみなされません。十分な経験を有する者の監督の下、・対面飛行や八の字飛行を行う技術を習得しておく必要があります。

つまり1人でぷらっと、10時間飛行しただけではこの条件には当てはまりませんので注意してください。

参考データ:国土交通省航空局標準マニュアル①(令和2年9月10日版)

GPS無しでの飛行

包括申請に提出する【無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書 】には、以下の条件があります。

GPS 等の機能を利用せず、安定した離陸及び着陸ができること。
GPS 等の機能を利用せず、安定した飛行ができること。

・上昇
・一定位置、高度を維持したホバリング(回転翼機)
・ホバリング状態から機首の方向を 90°回転(回転翼機)
・前後移動
・水平方向の飛行(左右移動又は左右旋回)
・下降

GPSやビジョンセンサーなどを切った状態で飛行できる技術を身に着けなくてはなりません。実はこれは一気に難易度が上がります。GPSやセンサーがオンの状態ですとドローンは何もしなければ同じ場所に止まってます。

しかしGPSやセンサーを切ると風がなくても上下左右に流れてしまい、常に当て舵を打ち続けなければ、ホバリングする事ができません。それが対面飛行や側面飛行となると操作ミスをしやすく、それなりの練習を積まなくてはなりません。

ココで大問題が…

このGPSやセンサーを切った状態はなするには、DJI社では【ATTIモード】にする必要があります。現状では、DJI社製で【ATTIモード】がついているのはファントムシリーズです。

しかし…

人気のマビックシリーズの機体には【ATTIモード】がついておりません。つまり、マビックではGPSを切った状態で飛行練習が出来ないのです。ファントムをレンタルして練習するかスクールに通う等対策が必要になります。(※2020年12月よりマビック2シリーズの中のエンタープライズ に関しては、ATTIモードで飛行出来るようになってます。)

10時間飛行の注意ポイント

  • 十分な経験者の監督下での飛行
  • ホバリングで時間稼ぎはNG
  • GPSを切った状態で飛行できる(ATTIモード)

10時間の飛行練習場所は?

10時間飛行するにも飛行場所を探さなければなりません。
飛行マニュアルによると、

【前後左右に20m離れた着陸地点に移動し、着陸することができること】
【3mの高さまで離陸し、指定の 範囲内に着陸すること】

とありますので、それなりの広い場所が必要となってきます。一戸建ての庭や室内ではなかなか条件が合う場所を探すのは大変です。そこで3つの飛行練習場を紹介します。

①自分で飛行場所を探す(河川敷や海岸等)

ドローンを飛行させる場合には、法律(航空法等)を守る事と地権者から飛行許可を得る必要があります。練習場所を自分で探すなら河川敷または海岸がオススメです。

駅前や住宅街などは人口集中地区に指定されており、ドローンの飛行が制限されてます。 管理者が分からなければ市役所に電話すると大抵教えてもらえます。

※練習用器具のパイロンなどは用意する必要があります。パイロンを使用すると場所によっては占有許可が必要となる場合がありますので管理者に確認してください。

航空法や申請の事ならこちらをチェック

②ドローン専用飛行場で練習する

ドローン専用飛行場は有料の場所もありますが、許可や申請無しで飛行出来るのでおすすめです。練習飛行場によってはパイロンなど設置されてる所もあり8の字の練習など飛行練習に適した環境で練習できます。

広大な荒野の練習場から、室内でのドローン練習場まで様々なタイプがあります。最近ではフットサル場などで時間貸しをしている場所も多くあります。

DJIの安全飛行フライトマップにはオススメ飛行場も確認できます。おもにドローン専用飛行場ですのでチェックしてみてください。地図上の緑のマーカーで表示されてます。

ドローン飛行練習場一覧

③ドローンスクールを受講する

ドローンスクールは日本全国で増えており2020年12月の現在では把握しているところだけで700校以上あります。価格は少し高めで200,000円から300,000円が相場です。スクールに入れば10時間飛行はもちろん、その後の包括申請時の飛行技術の証明までする事ができます。

一言でドローンスクールと言っても様々なタイプがあります。マンツーマンで教えてくれるスクールもあれば、シミュレーションでの飛行もあり、実機をあまり操縦できないスクールもあります。また国土交通省登録管理団体の指定の有無などもありますのでスクール選びは慎重に行って下さい。なお体験入学があればぜひ活用してみましょう。

10時間の飛行が無くても許可承認が得られる?

2018年12月に国交省により発表された書面を見てみると10時間未満の飛行者でもしっかりと安全対策がなされていれば、許可承認が得られるとのこと。許可承認を得た具体例を3つを簡単に紹介します。

【事例その1】

飛行経歴4時間の者が、四方がネットで囲まれている敷地において第三者の立入が制限され、ジオ・フェンス機能を設定し飛行範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。

四方がネット +ジオ・フェンス機能 +十分な飛行経験を有する者の監督

【事例その2】

飛行経歴2時間の者が、飛行させる者が管理する敷地内において第三者の立入が制限され、ジオ・フェンス機能を設定し飛行範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。

ジオ・フェンス +第三者の立ち入り制限エリア +監督者の下で飛行

【事例その3】

飛行経歴1時間の者が、補助者を配置して注意喚起をすることにより、飛行範囲内に第三者が立ち入らないようにし、機体をロープで係留し飛行の範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。

補助者設置 +機体をロープで縛り飛行制限 +監督下で飛行

これら3つの事例をみると以下の3つが共通点です。

  • 立ち入り制限区域を設定
  • ジオ・フェンス機能
  • 十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行

第三者の安全の確保と万が一の機体の暴走を物理的に防ぎ、経験者の監督下での飛行の3点をしっかり対策できれば、10時間の飛行実績がなくても機構の許可承認が得られる可能性が高いです。
参考資料:国土交通省

よくある質問Q&A

Q. 飛行10時間は200g未満のトイドローンでも大丈夫?

A.
200g未満のトイドローンでも飛行は実績に含まれます。(国土交通省ヘルプデスクに確認済み)
ただし、20g程度のマイクロドローンでよく使われるFPV飛行においては、実績に含まれないそうです。また、シミュレーションによる飛行も実機を操縦してませんので10時間の飛行実績には含まれません。

Q. 飛行10時間をするのに複数の機体の合計時間でいいの?

A.
はい。複数の機体の合計が10時間以上あれば大丈夫です。例えば、マビック2 (3時間)+ファントム4 (2時間)+テロー※トイドローン(5時間)でも大丈夫です。ただし、GPSを切っての飛行や8の字飛行などの飛行技術は必要です。トイドローンなどの飛行時間は、しっかりメモをとっておくかまたはアプリの起動時間などをキャプチャーで撮って保存しておいた方が良いと思います。

Q. ドローンスクールに通うと包括申請の許可・承認で有利になるの?

A.
ドローンスクールを卒業したからと言って許可・承認で有利になると言う事はありません。許可承認基準は同じです。
ドローンスクールの手続きにおけるメリットは卒業することによって包括申請の際、提出する10時間の飛行実績や国交省の認定スクール卒業だと飛行技術証明などを省略でき、手続きが少し簡略化できる。

Q. 趣味で国土交通省への包括申請は出来るの?

A.
趣味で国土交通省への包括申請はできません。包括申請を取るならば教務で申請しなければなりません。ただし業務と言うのは明確な基準があるわけではないので、2020年5月現在では、業務実績がなく、業務の準備段階でも包括申請を取得することができます。なおYouTubeの広告収益や画像や動画販売サイトへの掲載も業務に含まれます。

まとめ

国交省への飛行許可を得るための条件である【10時間の飛行実績】について詳しく紹介してきました。ただ単に10時間飛ばせば包括申請ができるわけではありません。GPS無しの状態での飛行技術その他にもドローンの知識も必要です。
ドローンスクールに通えば数日で10時間飛行できドローンの知識を学べる。そして包括申請の技術証明も行ってもらえますがお金もそこそこかかります。最近では10時間飛行証明書のみの比較的低価格で教えてスクールもありますのでチェックしてみて下さい。

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