山でドローンを飛ばすには?許可なしで飛ばしてもいいの?
山でのドローン飛行は届出なしで自由に飛ばして良いのかと言うと結論から言えば【NO】です。
例えば国有林がある山ですと、「入林届け」を管轄している森林管理署に提出しなくてはなりません。その他国立公園や観光地などある山でも許可が必要となります。その他にも色々と決まり事があります。
こちらのページでは山でドローンを飛行する際の必要となる届出の種類、申請方法、注意点などを紹介します。
目次
山でドローンを飛行するに以下の2つを守らなくてはなりません。
まず大前提としてドローンの一般法である航空法のルールも守る必要があります。山の中でも当然ですが航空法を遵守する義務があります。その他にも山の場合はその土地独自のルールや管理事務所の規則などがあります。
また、山にも所有者又は管理者が必ずいます。例えば国有林のエリアでドローンを飛ばすならば届け出が必須になってます。また山といっても私有地や民有林など個人が所有している土地も実は結構多いのです。それらの場合は地権者の許可を得なくてはなりません。
以下のルールの範囲外の飛行は国土交通省に許可又は承認が必要となります。
国土交通省の許可が必要な場合
注意すべき点は高度150m制限です。発着点かつ地表から149mまでは許可が要らないのですがそれ以上の高度で飛行するなら許可が必要となります。
つまり山頂で発着し、麓の方へ飛行するだけで地表からの高度が高くなり知らぬ間に地表から150mを超えてしまう事になります。山では特に以下のポイントに注意しましょう。
知らず知らずに地表より150m以上の高さになる恐れがあります。
150メートルを超えるようでしたら国土交通省の許可が必要です。
国土交通省の承認が必要な場合
特に注意すべきポイントは人や物件から30m以上離して飛行する必要があります。この人や物とは、山道を歩いてる人や山頂のいる人は当然の事として、山小屋、鉄塔、ロープウェイ、鉄橋なども含みます。もし上記の物件から30m離せないのなら国土交通省の承認が必要となります。(山小屋の地権者等の許可をもらえば承認は必要ありません)
国交省の許可や承認以外にも山の土地内に以下のものが含まれる場合は許可又は届出が必要です。
国有林 | 森林管理署 |
民有林・私有地 | 所有者 |
国立公園 | 環境省(各環境事務所) |
国定公園 | 環境省(各環境事務所) |
天然記念物 | 文化庁 |
鳥獣保護区 | 各都道府県知事 |
国有林とは、国よって保護管理されている森林のことです。管轄は林野庁で、各地方森林管理局の下の森林管理署、森林管理事務所により管理されてます。日本国内の森林の約3割が国有林です。
国有林での飛行するには「入林届」を管轄の森林管理署に提出する必要があります。この入林届けは、「法的拘束力はない」のですが、ドローンの飛行に関して定められたルールですので必ず提出するようにしましょう。
国有林でドローンを飛行する場合は、明確にドローンの飛行に関する規定があり、ドローン専用の申請様式まであります。記載内容は飛行の目的、日時、経路、高度等についてです。
ドローン専用申請用紙の図
申請(届出)を求めている理由に関しては、国有林を適切に管理していく上で支障等がないか確認を行うためです。その他、ドローン飛行の把握、危険な場所や飛行禁止エリア、禁止ルールなどを伝えするためです。
あくまで許可ではなく届け出ですので、何かトラブルがあった際は基本的自己責任です。
国有林でドローン飛行する際のルール
国有林はいろいろとルールはありますが「国民の森」との認識もありドローンは比較的容易に飛ばせます。
国有林は紙地図ですと各森林管理署にて有償(1枚数百円)で地図をコピーして貰えます。またインターネットでも調べることも可能です。
⇒国土情報ウェブマッピングシステム
サイト内での手順
表示地図内の「指定地域」のタブを開く。その中から項目で「国有林」にチェックを入れる。少しデータが重いですね。
その他の資料
国有林の詳細が分かるサイト
⇒国土数値情報 森林地域データ
関東森林管理局のHPはコチラ
⇒関東森林管理局のホームページ
民有林・私有地は、国の管轄外でそれぞれの所有者の承諾を得る必要があります。
日本の森林所有形態は、主に国有林と民有林にに分けられます。 さらに民有林を細かく分けると公有林(都道府県有林と市町村有林と財産区有林があります)と私有林に分けられます。それぞれの森林の面積と割合は以下のとおりです。
平成29年
民有林や私有地はそれぞれ所有者や地権者がいますので、勝手に入ってはいけません。所有者または地権者を探して許可を得ましょう。なお、殆どの山林には林道があります。それらの林道の所有権は営林署又は市町村です。
山は実は多くの私有地があり、1つの山にたくさんの所有者がいる事が多いです。あの富士山も8合以上はほとんどが私有地で山頂は、「富士山本宮浅間大社」の私有地です。入林届けを出すだけでなく飛行エリアに私有地が含まれてない確認する必要があるわけです。
県庁や市役所など自然保護や林業に関する部署には国有林、民有林が識別された地図があります。調べたい方は尋ねてみて下さいね。
山や国有林のエリアの中には国立公園・国定公園に指定されているエリアも多くあります。
これら国立公園や国定公園内で道路も飛行する場合は各都道府県の環境事務所に確認を取る必要があります。
国立公園内では、自然公園法に基づいて色々と規制されています。ドローンに関しては直接名分で規制はされてない解釈により飛行禁止エリアがあったり、許可を求めたり使用届けを出すところなど色々なパターンがあります。まずは管轄の環境事務所に問い合わせしてみるといいです。
国立公園の管轄→環境省
⇒国立公園事務所等一覧
国定公園の管轄→都道府県自然環境事務所
⇒国定公園一覧
環境省では、ドローンを飛行させることについて土地・施設の所有者や管理者の許可を取っているかなどを確認したり、撮影計画書の提出を求めているエリアもあります。その他管理上必要な個別の措置を要する場合もあります。上高地、室堂など一部の自然公園では全面的にドローンの飛行を禁止しているエリアもあります。
国立公園・国定公園での注意事項
これらの行為をした者には、自然公園法や国立公園集団施設地区等管理規則の規程に反する行為に該当し罰則、又は必要な措置(原状回復等)を命じる事もあります。
自然公園土地所有別面積総括表
国立公園
国有地 60.3%
公有地 12.8%
私有地 25.9%
国定公園
国有地 43.9%
公有地 13.9%
私有地 42.1%
国定公園では4割以上が私有地です。
国立公園内では、自然公園法に基づいて規制されています。国立公園内でドローンを飛ばしたい場合は、環境省などに申請や届出が必要となります
届出・申請に関する問い合わせと提出は、所管の地方環境事務所まで。
⇒国立公園一覧
自然公園(国定・県立)のエリア別許可・申請基準
特別保護地区 | 許可 |
海域公園地区 | 許可 |
特別地域(第1種~第3種) | 許可 |
普通地域 | 届出 |
文化財や天然記念物近くでのドローン飛行は原則禁止とされています。特に山の場合天然記念物があるエリアも多い。どうしてもドローンを利用して撮影したい場合は文部科学省の文化庁に許可を得る必要があります。ただし許可を得るのも容易ではなく数カ月はかかるのは覚悟しときましょう。
文化財保護法の規制を受け、棄損したりすれば罰則の適用を受ける。
第百九十六条
文化財保護法
史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
2
前項に規定する者が当該史跡名勝天然記念物の所有者であるときは、二年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
鳥獣保護区でドローンを飛行するなら知事の許可(窓口は市町村)が必要になることもあります。
鳥獣保護区とは、鳥獣の保護の目的の為「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に基づいて指定されつ区域です。
ドローンに関しても制限がかけられている場合が多いのでまずは確認してみましょう。環境大臣が指定する「国指定鳥獣保護区」と、都道府県知事が指定する「県指定鳥獣保護区」があります。
制限がされている例として北海道の浜頓別町を参考に紹介します。
山の所有者は結構複数の所有者に分散されています。大きな企業が所有しているのなら、森林管理署や森林組合が教えてくれるますが、個人を特定するならばまず森林組合に赴いて土地の地番を教えてもらいましょう。
地番がわかったら、法務局に行き登記簿の写し公図を有償でもらえます。これによりその山の土地の持ち主が分かります。法務局ではオンラインでも登記簿の写しが取得できます。
①国有林を管轄している林野庁のHPをさがす。
⇒全国森林管理局一覧
②電話またはメールで問い合わせ
申請様式や届出方法、提出先その他注意点を教えてもらう
③管轄の森林管理署に入林届を提出
提出方法は、管理署へ直接持ち込み、郵送、FAX、メールで選べます。
郵送での返送を希望なら返信用封筒と切手を入林届と併せて持ち込み又は郵送してください。
提出書類
飛行マップは国土地理院の地図が使いやすいです。国土地理院の地図ですと、飛行ルートや発着点、監視人の監視場所など既存のツールで簡単に作成することができます。飛行ルートはなるべく具体的に書き、人の多い場所、山道などは飛行ルートから外した方が良いでしょう。
山は突然の雨や突風、上昇気流、谷による電波障害、鳥獣からの攻撃など墜落リスクが通常より高い傾向にあります。
万が一、山でドローンを墜落すると立ち入り禁止区域もあり機体の回収に困難な場合もあります。また墜落するとリポバッテリーは衝撃を与えると引火する事もあるので山火事のリスクもあります。機体の放置は、自然公園法違反、または不法投棄とみなされ廃棄物処理法違反として検挙される恐れもあります。
山でのドローンの法律、申請方法、注意点などを紹介してきました。一言で山と言っても、国有林、民営林の違いや国有地や私有地、そして国立公園、鳥獣保護区、天然記念物エリアなどいろいろなパターンがあるのでそれぞれ管轄が異なり、申請方法も変わってきます。1つの山に数百人の地権者がいる事もあるので、ドローンを飛行する際注意が必要です。ただし国立公園や国有林などら山でのドローンの飛行はしっかり申請を行えば比較的容易に許可が出やすいです。事前の準備や申請を行い、安全なドローン空撮を楽しみましょう。